クルーズ船で働く

豪華客船で遭った非常事態2〜英語出来ない私のこじらせ話〜

 

前回好評だった(?)
英語が出来なかった私の豪華客船でのこじらせ話。

今回も、なぜだか稀な出来事に巻き込まれてしまった話です。
あいにく
ポップコーンもオチありませんが、
映画を見るように読んでいただければと思います!

緊急事態は突然に

あれは私が船に乗ってすでに7ヶ月以上経ったころ。

私の航海生活も終盤に差しかかって
そう!
ワールドクルーズが終わり、オセアニアを回遊したら
私達の船は日本航路へ!

この日は初春の石川から出発し、青森へ向かっている最中でした。

 

船の生活にも慣れてきて、
契約修了で船を降りた同僚の別れと
代わりに入ってきた新しい同僚との出会いを繰り返して

私が入ってきた頃の
パーティとはすっかり変わったスパにも
多少のストレスはあったにせよ楽しく過ごしていた。

そんなある日。

お昼の休憩から帰ってくると、
新しい同僚Kが

「あみん!マウロがあんたを捜してたわよ!
至急、ブリッジ(操縦室)に来いだって!」

マウロとは、イタリア人のチーフオフィサー(1級航海士)の1人。

 

「え〜?」
(なんか表彰されるのかな?)

 

私が働いていた船では、
時おり全クルーの中から功労者を表彰するイベントがあって
大体表彰者の記念撮影をブリッジですることがあった。
楽天家の私は
この日もそのために呼ばれたのとばっかり思っていました。

これから手に汗にぎる出来事が待っているとは知らずに…

 

ブリッジの緊張感

「ブリッジの行き方わかる?」

船で生活して7ヶ月も経とうというのに、
いまだに同僚に心配される私。

ブリッジ、幾度か訪ねたことあるけど
確かに分かりにくいところに入り口があるのよね。

なんとか到着した私。

ブリッジはほぼこんな感じです。↑ 出典 小太郎ブログさんより

着くと室内には

若手オフィサー達が全員大集合。

しかもなんだか緊迫した雰囲気…。

なんだ、なんだ??

連れられるまま、操縦室の奥にある部屋に入っていくと

 

い、居た~!!

キャプテン!

チーフオフィサーのマウロ。

 

この時のキャプテンは、イギリス出身の寡黙な貫禄あるキャプテンでした。
英語が話せないクルーには厳しいと有名で、なるだけ関わらないようにしていたお方💧

 *あみんの豪華客船バナシ*
私が所属していた船にはキャプテンが2人いて
数ヶ月の契約が終わると、1人は休暇に入って
今まで休暇中だったもう1人が船に戻ってきて業務にあたる
といったシステムでした。
同じメンバーで入れ替わりしたほうが、業務も連携しやすいんでしょうね。
1人目のキャプテンは、イタリア人のフレンドリーなキャプテン。
2人目はキャプテンは、バリバリイギリス英語を話す寡黙なキャプテンでした。
イギリス人キャプテンも実際にはいい人だったみたいで、
うちの旦那は彼を慕ってました。

 

マウロとキャプテンが深刻な顔して話し合ってるところに
私登場。

 

「oh! あみん!良く来たね~!
実は船に病人が出てね。ご年配の方なので
近くの病院に搬送したいんだが、
君には日本語と英語の通訳をお願いしたいんだ。

ジャパン コースト ガードと電話で話してもらうよ?

 

 

(゚△゚;)え!?

 

(゚Д゚;)えええええええええ!!!!??

 

ジャパンコーストガードって海上保安庁のことでしょ?

私が通訳?

 

 

 

いや、無理や( ̄ロ ̄lll)

 

…なんて言えるわけもなく、
マノロが詳細を説明し始めました。

あみんの通訳

マノロが説明するには、
ゲストを病院に搬送したいが
明日到着予定の青森まで待つべきか
今から航路予定の新潟付近でヘリを要請して
今日中にヘリで新潟の病院へ搬送すべきか
それを海上保安庁と話して欲しいと。
(幸い、ゲストは緊急を要するわけではないが
ご年配であることとこれ以上の船内での治療が難しいと判断したため)

 

いや、こうやって説明すると簡単に見えますけどね。

私は心臓バクバク、船長の鋭い目線が怖い!!
私の英語力が乏しいの知ってるのに
なぜ私が選ばれたのかが分からない…

 

私も船で働いてすでに7ヶ月、リスニング力も上達してきて
キャプテンのイギリス訛りもほぼほぼ聞き取れてました。

け ど ね!

通訳なんてやったことないよ〜!(涙)

 

私に一連の流れを教えた後

「OK! じゃ、早速コーストガードに電話するよ!」

 

マノロの横に座って、電話のコール音を聞く私。

ドキドキドキドキ…

 

「こちら日本海上保安庁。」(確かこんな感じだった)

 

き、きた〜!!(ドキッ!)

マノロが英語で話すも、途中で回線が切れてしまい
向こう側と会話出来ず。

 

「Gush!」 マノロが思わず叫ぶ。

 

もう1度トライ。

 

トゥルルルルルルル…

 

「えー。こちら日本海上保安庁」

 

今回は通話に成功した!

マノロが豪華客船からの電話だと英語で話すと
すかさず私に受話器を渡す。

「あ!えっと…私○○と言います……」

と続き、ブリッジからの伝言を日本語で伝えました。

 

「今船はどこらへんにいますか?」

マノロに伝えると
私達の位置を示す専門的な数字と、
どれくらいの速度で船が走ってるかを教えてくれたので
それをそのまま伝える。

 

海上保安庁との会話との末、
船と新潟までの距離が短いため
新潟で搬送したいなら5分以内に要請を出してくれ!
と言われ
電話を切らずにそのまま
マノロとキャプテンにつたない英語で伝える。

 

これが一番緊張した〜!
本当に簡単な単語と文法しか使ってなかったです。

 

「分かった。話し合うから少し待ってくれ。」

とキャプテン。

ブリッジの緊張感に押しつぶされそうになりながら
平気なそぶりして、2人を待った。
私の周りの若手オフィサー達も指示を待つ。

 

ほんの数分後、奥からキャプテンが出てきて

「私達は、青森にそのまま向かう。
それを相手方に伝えてくれ。」

 

これぞ、鶴の一言。

キャプテンの一言で若手のオフィサー達もそれぞれ業務を始めた。

私は受話器を持ち上げ
青森に向かうことを告げ、電話を切った。

 

お、終わった…

 

キャプテンの笑顔

「あみん!ありがとう!君の協力に感謝するよ!」

マノロが私の肩を叩く。

キャプテンも続いて

「Thank you, Thank you so mush.」

と少しだが笑顔を見せてくれた。

安堵感と
未だになぜ私だったんだろう?と疑問を抱えブリッジを後にした。

 

スパに帰ると、みんなから当然質問攻め!

「なんで、あみんだったんだろうね〜!
フォトにいるヒロシ(当時乗船していた日本人の男の子)
のほうが、断然英語出来るじゃんね〜! hahahaha!」

「彼、乗船したばっかだったから皆知らなかったんじゃない?」

「Well done! amin!」

「スタッフキャプテンもその場にいたの?彼イケメンなのよね〜❤」

みんな人ごとだと思って言いたい放題…😭

ま、いいけどね〜!

 

まとめ

私のこじらせ話。

いや、こじらせてはいないですが(笑)
その時は、相当な緊張で
手汗と心臓バクバクでした。

私のような経験はほんとうに稀ですが
日本航路がある海外船だと
(例えばダイヤモンドプリンセスなど)
日本人ゲストに向けての英語の通訳なども時には頼まれるそうです。

友達はゲストに向けてのイベントの通訳を頼まれたと言っていました。

なので!船内でいつどんな経験をするかも分からないので
やっぱりほんとに英語力はつけれるだけつけて船に乗りましょ!

そしたらカッコいいお土産話が出来るかもしれません👆

amin

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